「のぼうの城」を観てきた。
ネタバレにならないように感想を書くけど、
これから観に行く事が決まっている人は
帰って来てから続きをお読み下さい。
観に行こうかどうしようか迷っている人は、ぜひ!
自分の信じる正義を通すため、命を賭して闘う物語り。
忠臣蔵、新撰組、白虎隊、大戦時の特攻隊の話し等、
日本人の好む武士道に通じる物語りなのだが、
その類いにつきものの悲壮感がまるでなく、
暗い気持ちにならずに観られる。
多勢に無勢、金に物を言わす、という事に対し、
万人がなんとなく抱くであろう「従いたくない」
という感情。
その何となく抱く感情に基づいて、主人公である長親
(ながちか)が以下の発言で無謀な開戦を決意したから、
悲壮感は感じられない。
「それ(多勢に無勢)に従うというのが世の倣い(ならい)
というならワシだけは嫌じゃ。絶対に嫌じゃ! 嫌じゃ!」
こんなワガママが言えたらどんなに楽か、と思いつつ、
言いたい事も言えないこんな世の中じゃ、ポイズン。
と自分に言い聞かせて、長親の様に振る舞えない
人がどれだけいるだろう。
この映画の内容の様に生きられたらなぁ、
と思いながらも、現実はそうも行かないよなぁ、
と諦めてしまうのは、間違いじゃないかと僕は思う。
組織の大きさ、資金の大小、人の強弱など、
確かに現実は厳しいことが多い。
ただ、今の今、現実に言いたい事は言えなくても、
この先、分かってくれ、支えてくれる仲間や
家族を持てる様に今日を努力していけば、
世に倣わずとも、楽しく、そして正しく生きたい
という希望はいつの日か叶うのではないだろうか?
この映画の中で長親が涙を流すシーンがある。
その姿は滑稽であるが、その涙に共感もできる。
共感のあまり、不覚にも僕も涙が出て来たのだが、
何とか耐えた。
帰りの車中で考えた。
僕は一体いつから人目を気にして、泣くのを
我慢する様になったのか。
人前で泣けるほどの無邪気さもなく、
話しにサラッと感動できる程、大人でもない。
そんな中途半端な人間に、僕は一体いつから
なってしまったのだろう。
ま、僕は僕として、ありのままに受け入れ、
正直に生きよう!と思える良い映画でした。
この映画の中で丹波(佐藤浩市)の言った台詞。
「やっちまうか? やっちまうか!」
皆さん、良い仲間を持てるよう、日々努力しましょう。
で、やっちまいましょうぜ!